「ChatGPTだけで十分なのか、Claude・Gemini・Grokも試すべきなのか」。
AIツールが増えるたびに、この悩みが浮かびます。
全部を使いこなそうとするのは、正直言って無理があります。
結論から言うと、4つのAIに課金する必要はありません。用途ごとに得意な1つを選べば十分です。
この結論は思いつきではありません。PMOとして日々AIを使う中で、4つのAIに同じ指示を4本ずつ、合計16回流して回答を比較した実測に基づいています。
この記事について、最初に3つお伝えします。
- 検証結果は記事作成時点のものです。
検証を行ったのは2026年7月18日です。AIの回答内容や仕様は今後変わる可能性があります。 - すべて無料版のAIで検証しました。
使用したモデルは、判明している範囲で次の通りです。ChatGPT:GPT-5.5/Claude:Sonnet 5/Gemini:3.5 Flash(後述する検証③で話題になる「Gemini 3.5 Pro」とは別の、軽量版モデルです)/Grok:Grok 4.5。 - AIは日々進化します。
この記事の結果は絶対的な優劣ではなく、あくまで傾向の参考として読んでください。
結論:4つのAIの役割マップ
先に一覧で示します。検証の結果、ざっくり次のように役割が分かれました。
| AI | 役割 | 強みの根拠 | 弱み・注意点 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT | 汎用・なんでも1軍 | 利用者最多。調べ物・アイデア出し・壁打ちまで幅広い | 手広い分、長い文章仕事の丁寧さはClaudeに譲る場面も |
| Claude | 文章・資料の職人 | 長文の読解・要約・トーンを揃えた文章が丁寧。込み入った指示に忠実 | リアルタイム情報は苦手 |
| Gemini | リサーチ・調査係(のはずだった) | Google検索と直結。最新情報の調査に強いはず | 今回の検証で自社製品の情報すら誤答した(詳細は検証③) |
| Grok | SNS・トレンド観測 | Xの投稿をリアルタイムに読める唯一の存在 | 口調がクセ強め。ビジネス文書には不向き |
この使い分けは傾向であって絶対ではありません。どのAIも汎用的に使えます。まず1つを使い倒してから、足りない部分だけ2つ目を検討すれば十分です。
特にGeminiは「リサーチ係のはず」という想定が、検証で覆りました。詳しくは後述します。
検証方法:同じプロンプトを4つのAIに16回流した
検証は、実務で起こりがちな4つのタスクを想定したプロンプトを1本ずつ用意し、それぞれをChatGPT・Claude・Gemini・Grokの4つに投げる形で行いました。
プロンプトは4本、AIは4つなので、合計16回分の回答を比較しています。
公平性を保つため、すべてのAIで「一時チャット」またはシークレットモードを使いました。過去の会話履歴やパーソナライズ設定の影響を受けない、まっさらな状態での回答です。
検証したタスクは次の4つです。
- 企画の壁打ち
- 議事録の整形(あえて汚い走り書きのメモを用意)
- 最新ニュースの下調べ
- Xトレンドの観測
①企画の壁打ちタスクの結果
実際に流したプロンプトはこちらです。
チームで生成AIの社内勉強会をやることになりました。30分で、参加者はAI未経験の事務職5人。飽きさせない構成案を3パターン出して、それぞれの狙いも教えてください。
- ChatGPT:丁寧だが冗長。
3パターンとも正確な内容でしたが、全体に長めでした。しかも聞かれていない「パターンの組み合わせ提案」まで追加で書いてきました。 - Claude:一番簡潔で、そのまま使えた。
4つのAIの中で一番整理されていました。「選び方の目安」で読者がすぐ選べる形にまとまっており、末尾の「スライドの叩き台も作りましょうか?」という一言も自然でした。 - Gemini:内容は良いが、コピペで崩れる。
セキュリティ注意点(社内データを入力しない等)まで踏み込んだ質の高い内容でした。ただし回答が表形式だったため、コピー&ペーストすると列がくっついて崩れ、手直しが必須でした。 - Grok:面白いが、これもコピペで崩れる。
ゲーム形式を取り入れた面白い構成でしたが、Geminiと同様にコピー時にテーブルが崩れる問題がありました。文中で「ChatGPT(またはCopilot)」と他社のツール名を例示していた点も気になりました。
発見:「汎用ならChatGPT」という想定に反し、実際に一番そのまま使えたのはClaudeでした。GeminiとGrokは内容は良くても、コピペした瞬間に体裁が崩れるという実務的な弱点がありました。
②議事録整形タスクの結果
今度は、あえて脱線や口語、未決事項を混ぜた汚い走り書きのメモを用意し、整形させました。
以下の会議メモを、上司に報告できる議事録に整えてください。
・決定事項/持ち帰り(担当者と期限)/未決事項/次回予定 の4つに分けて
・箇条書きで簡潔に—
7/18 10時〜 新システム切替の定例。田中さん、佐藤さん、鈴木リーダー、自分。
切替日は9/1で確定。もう動かさない。
田中さん→旧データの移行テストで文字化け発見、全角カナのとこ。原因調査して来週水曜までに報告。
研修どうする問題、集合かオンラインか決まらず。鈴木さんは集合派、佐藤さんはオンラインでいいじゃん派。部長に聞いてから決めることに。誰が聞く?→たぶん鈴木さん?要確認
そういえば来月の防災訓練の日程が研修とかぶるかもって話も出た(これは総務に確認、自分がやる、今週中)
マニュアルの叩き台は自分、8/8まで。佐藤さんがレビューしてくれる。
次回7/25(金)10時、同じ会議室。
あと予算の追加申請の話は時間切れで次回に。
このメモの会議日である7/18は土曜日という設定です。つまり「来週水曜」の正解は7/22になります。
- ChatGPT:年は正確だが、日付を誤り、勝手に作文もした。
年(2026年)は正確に書けていました。ただし元のメモには一切なかった「次回会議の議題」を3つ勝手に作文していました。さらに「来週水曜まで」を「7/23」と変換しましたが、7/23は実際には木曜日で誤りです(正しくは7/22)。 - Claude:一番見やすいが、年を1年間違えた。
4つのAIの中で一番見やすい表形式で整理されていましたが、日時を「2025/7/18」と1年間違えて記載していました(正しくは2026年)。 - Gemini:ChatGPTと同じ日付ミスに加え、拡大解釈もした。
ChatGPTと同じく「来週水曜」を7/23に変換し、これも誤りでした(正しくは7/22)。さらに「今週中」という指示を「会議当日中」と拡大解釈し、マニュアルレビューの箇所にもメモにない一文を追加していました。 - Grok:一番忠実だが、日付計算はしなかった。
元のメモにない情報を一切追加しない、最も忠実な回答でした。ただし相対的な日付(来週水曜、今週中)を具体的な日付に変換する機能は使いませんでした。
発見:ChatGPTとGeminiはどちらも「来週水曜」を7/23(木曜)と誤答し、しかも同じ間違い方をしました。日付を自動計算してくれる「気が利く」機能ほど、検算なしでは信用できないことが実測でわかりました。
今回の検証だけを見るとClaudeが一枚上手でしたが、これは「初めて渡した1本のメモ」に対する一発勝負の結果です。普段使い慣れているAIがあるなら、無理に乗り換える必要はありません。
私自身は、議事録・資料・メールの3つは今もChatGPTを毎日使っています。使い慣れた道具で型を作るほうが、実務では効率的な場面も多いです。実務で使っているプロンプトの型は、別記事(ChatGPT仕事活用術|議事録・資料・メールを半分の時間で終わらせる実務プロンプト3選)でも紹介しています。あわせて読んでみてください。
③最新ニュース下調べタスクの結果(この記事で一番重要な発見)
実際に流したプロンプトはこちらです。
今週の生成AI関連の主要ニュースを5つ、それぞれ2行で教えてください。出典のリンクも付けてください。
- ChatGPT:丁寧だが、中身に誤りがあった。
5件のニュースを出典リンク付きで丁寧に回答しましたが、その中の「Google、Gemini 3.5 Proを公開」という項目は誤りでした。2026年7月18日時点でGemini 3.5 Proはまだ一般提供されておらず、延期中でした(この事実はWeb検索で一次確認済みです)。 - Claude:唯一、正確に報告していた。
4つのAIの中で唯一「Google Gemini 3.5 Proの提供が延期に」と正確に報告していました。 - Gemini:自社製品ですら誤答し、しかも矛盾もあった。
自社(Google)の製品であるにもかかわらず「Gemini 3.5 Proが発表された」と誤答していました。さらに、5件のニュースを出典付きで詳しく回答した直後に「リアルタイムでのウェブ検索機能を利用できないため、今週の最新ニュースや具体的な出典リンクをお届けすることができません」という趣旨の文章を付け加えており、直前の回答と矛盾していました。直前の回答が実際の検索結果ではなく、AIが作った情報だった可能性を示しています。 - Grok:複数のページを実際に検索した形跡があった。
実際に複数のウェブページを検索した形跡があり、内容の信頼度は高そうでした。
発見:「Gemini 3.5 Proが公開されたかどうか」という同じ質問に対して、AIごとに答えが真っ二つに割れました。
ChatGPTとGemini(自社製品にもかかわらず)は「公開された」と誤答し、Claudeだけが「延期中」と正確に回答しました。実際にWeb検索で確認したところ、Claudeの回答が正しいものでした。
同じ質問をしても、AIごとに”事実”が食い違うことがあります。しかも自社製品の話でさえ間違えることがある、という実例になりました。
④Xトレンド観測タスクの結果
実際に流したプロンプトはこちらです。
いまXで話題になっているAI関連の話題を3つ教えて。それぞれ、どんな反応が多いかも。
- ChatGPT:検証できない創作的な回答だった。
検索できないと断らずに回答しましたが、「Xで多い反応」として書かれていた内容は出典が一切なく、検証のしようがない創作的な要約でした。 - Claude:情報源を明示していた。
具体的な情報源名(Techmeme、The Registerなど)を明示しており、他の3つに比べて情報源の信頼度は一番高いものでした。 - Gemini:裏付けのない話を断定的に提示した。
出典が一つもないまま断定的な口調で回答していました。特に「Anthropicが開発した『Mythos』というAIが、危険すぎて一般公開を永久に見送った」という趣旨の話を提示していましたが、これは裏付けが一切なく、AIが作った話である疑いが強いものでした。 - Grok:前提を明示し、実際の投稿を引用していた。
「2026年7月20〜21日時点の投稿傾向」と前提を明示したうえで、実際の投稿者のアカウント名も引用していました。他のタスクで他のAIも触れていた話題(中国のAIモデルの急進、新型モデルのリリースラッシュ)と内容が一致しており、信頼度が高いものでした。
発見:このタスクだけは、事前の想定通りGrokが一番強い結果になりました。逆にGeminiは、出典のない創作的な話を提示するという、4つのタスクの中で一番懸念のある結果になりました。
まとめ:まず1つを使い倒せば十分
4つのタスク・16回分の回答を通して見えた総括です。
| AI | 総括 |
|---|---|
| ChatGPT | 手広く丁寧だが、「もっともらしいが検証できない」内容を出すことがあった(①の余計な提案、④の出典のない創作的な要約) |
| Claude | 4つのタスクの中で最も安定して正確だった(②の年の間違いは軽微で、③④はむしろ一番正確だった) |
| Gemini | 4つのタスクすべてで何かしらの問題があった(①コピー時に崩れる、②日付の誤り、③自社製品についての誤答と矛盾、④裏付けのない創作的な話)。今回の検証の中で一番注意が必要な結果になった |
| Grok | ①②は地味だったが、③④(想定していた得意分野)では他のAIを圧倒する結果だった。「使い分け」という考え方が、実際の検証結果でも裏付けられた形になった |
ここまで読むと「結局どれが一番いいのか」と思うかもしれません。ですが、この記事で伝えたいのはランキングではありません。
4つ全部に課金する必要はありません。まず1つを使い倒し、足りない部分だけ2つ目を検討すれば十分です。
文章を丁寧に仕上げたいならClaude、最新情報はGeminiよりもむしろ裏取りができるGrok、迷ったらまずChatGPTから、という選び方で困りません。
AIの選び方の前に「そもそもAIをどう学べばいいのか」で迷っている人は、独学とスクールのどちらが向いているかを診断できる記事も用意しています。
→ 生成AIは独学で身につく?スクールと迷ったときの判断基準【現役PMOの本音】
今日から始めるなら、まず1つのAIで、今抱えている1つの業務を試してみてください。使い分けは、それで足りないと感じてからで十分間に合います。


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